デビッド・ミスキャベッジ

ビジョンを現実に

ビジョン」。 ある辞書によればこの単語は「普通でない洞察力や先見」を意味する。 別の定義では「想像力によって形成された思考、概念、対象物」と述べている。

決定的な行為に変容したビジョンは、2016年4月2日にアメリカ南部の心臓部で顕在化し、ジョージア州アトランタにおいて新しい地平を開いた。 そのビジョンは5月28日にカリフォルニア州ハリウッドで多次元の世界的な実質を身に帯び、6月25日にフロリダ州クリアウォーターにおいてその発展を継続させた。 続いて7月23日にはハンガリーのブダペストがそのビジョンを歓迎し、7月31日にはニューヨーク市ハーレムでも。むろんジャズの伴奏付きで。 そのビジョンは地球を横切って伸び、9月4日にオーストラリアのシドニーで実体化した。 再び惑星を横断し、10月15日にはアイルランドのダブリンにそのビジョンが植え付けられた。

それは、もともとサイエントロジー宗教の創設者L. ロン ハバードによって打ち出されたビジョンである。 彼は、最適なサイエントロジー教会を次のような場所として表現した。「そこは自由を達成するために人々がやって来る活動の場であり、その人たちはそこでそれを到達するという確信を持っています。 …人はこの [教会] を見て、これこそがこの惑星のために新しい文明が築き上げられている場所なのだとわかります。」

現在、そのビジョンを実行しているのは、この宗教の教会指導者、デビッド・ミスキャベッジである。 過去30年間にわたり彼がこの教会を指揮する中で、ハバード氏のビジョンは断固としたアクションへと変換された。

デビッド・ミスキャベッジ

もうひとつの言葉がある。「拡張」。辞書には「物事が増加、増大していく行為または過程」とある。 この二つの言葉の組み合わせ「ビジョン + 拡張」― それがサイエントロジー教会の2016年型方程式となる。 ハバード氏が最初に打ち出したビジョンと、ミスキャベッジ氏の舵取りによるこの宗教の拡張により、2016年はもうひとつの言葉「達成」で定義されることとなった。

サイエントロジーが生まれたのは原子力時代の勃興期。その際にハバード氏が目指した使命は、危機に瀕し、下降していく文明を前に、人類とこの惑星の生存を確かなものにすることだった。 この騒然とした現代に、サイエントロジストたちはそれぞれがひとりの人間として、人類の苦難を逆転させるという目的を胸に行動している。 「ビジョン + 拡張」はそれを成し遂げるための構成要素だ。

ハバード氏は多くの分野における行動の人であり、多くのメディアにおける発信者であった。 彼が創設したこの宗教には二つの主要なゴールがあった。ひとつは、個人を奴隷化している心的・精神的な鎖からすべての人を解放すること。もうひとつは、そうして解放され、啓発された人たちが思い描く最も高い望みを体現する新しい文明を建設することである。

ハバード氏はそれをこう記した。「狂気もなく、犯罪者もなく、戦争もない、そこでは能力のある者が栄え、正直な者が権利を有することができ、人間が自由により高い境地に至ることのできる文明。これがサイエントロジーの目標です。」

過去60年を通じて、「ビジョン + 拡張」を達成目標とすることにより、そのゴールは着実に現実化してきた。 2013年にはクリアウォーターにこの宗教の世界的総本山、フラッグ・ビルディングがオープンするなど、近年は新しい教会が続々とオープンし、そのペースは加速する一方である。それに続く2016年も、この方程式に加えられた1年となった。 それらの新しい教会は、つとに知られたこの宗教の強力な人道支援プログラムを拡張させた。人権を擁護すること。貪欲な精神医学の災厄と闘うこと。薬物と依存症について人々に真実を教えること。苦悩を和らげるためにボランティア・ミニスターのチームを世界中に送り出すこと。元犯罪者を生産的な市民に変貌させること。そして、良識に基づく道徳と倫理的な指針を伝えることですべての住民を感化すること。

そしてそれぞれの新しい教会から新しい支部教会(ミッション)が育成され、それが本部教会へと成長していく。

別の言い方をしよう。「ビジョン + 拡張 = 人類の向上。」

5月28日にハリウッドで起こったこと以上に、それを明確に示すものはない。 1912年建設というビンテージ物の映画スタジオが、この日、サイエントロジー・メディア・プロダクションズ(SMP)として新たにオープンした。 それは技術と復元の目を見張るような融合 ― この教会による放送、オンライン展開と雑誌出版、特別なイベントなどのための制御中枢である。 しかし、それだけではこの出来事の「WHY」を説明したことにはならない。 ミスキャベッジ氏がその開幕式に集まった1万人に明言した通り、SMPはサイエントロジーの「声」なのだ。 それはこの宗教の希望のメッセージを放送し、記事にし、電波として発し、出版することになる。 ミスキャベッジ氏は宣言した。「これから私たちは歴史上、他の宗教にはないような私たちの記事を書いていくつもりです。」

SMPの誕生により、世界にサイエントロジーを伝えるための全体的な計画が完成した。 近年、ロサンゼルスのブリッジ・パブリケーションズとデンマークのニュー・エラ・パブリケーションズでは、最新のデジタル印刷機が休むことなく回転し続け、ハバード氏の文献を地球の至る所に送り出している。 その間、ロサンゼルスにあるこの教会の普及センターは、サイエントロジーの数多くの人道支援プログラムに欠かせない教材を供給している。 こうしたメディアの武器庫に、SMPの放送、オンライン、雑誌出版とメディアが加わる。

サイエントロジー教会に対するハバード氏のビジョンには美的な側面も含まれていた。そしてミスキャベッジ氏の指導によって誕生した建築物はいずれも目の覚めるような見事なものだ。 しかしその真の目的は、美ではない。 そのコンセプトは最初のモデルに基づいていた。L. ロン ハバードの英国の居宅、イーストグリンステッドのセントヒルにあったサイエントロジーの初期の世界本部である。

あの2001年9月11日、テロリストがアメリカを攻撃した直後に、ミスキャベッジ氏は「今こそ目を覚ます時」という緊急メッセージを発信した。 「私たちの責任は、緊急の援助という範囲を遥かに超えています。」がれきの山と化したニューヨークに向けて、彼はこう記した。 「それは緊急の使命です。 それに関して疑問の余地はありません。 そしてそれを達成する唯一の手段は…何万ものミッション、何千もの教会です。」

この「目を覚ます時」に示されたビジョンが確固とした現実になるには、1954年に創設されて以来のサイエントロジーの成長速度をさらに上げ続けるしかない。 そのような成長に不可欠だったのが、ミスキャベッジ氏が指揮した二つの大プロジェクトである。 最初は、ハバード氏が残したダイアネティックスとサイエントロジーの著作と録音された講演の全体を復元するプロジェクトだった。 それと並行して、ミスキャベッジ氏は創設者が教会のための戦略として構想したことを綿密に調べた。教会がその目的を存分に果たすにはどの設備が必要なのか。教会員の教育と宗教サービスを円滑に進めるにはどのように施設を設計すべきなのか。教会を運営するには何名の職員が必要なのか。 それに加えて、それぞれの教会が近隣地域で人道支援運動を発展させる拠点として果たす役割についてもである。

最初のそうしたモデルは、2003年11月にオープンした南アフリカのヨハネスブルク教会で実現した。 その数は現在55を数える。それに加えて、ハバード氏による当初のコンセプトとミスキャベッジ氏の指導を反映する建築物や施設が他にも数多くある。

その範囲は、教会が後援する非宗教の薬物依存症治療センター「ナルコノン」をはじめ、サイエントロジストが精神的進化のトップレベルに達するための上級教会、教会が推進する数多くの社会救済キャンペーンのためのオペレーション・センター、より多くの職員がさらに多くのサイエントロジストと地域社会全体に奉仕するための事務局施設にまで及んでいる。

2016年にはアトランタハーレムブダペストといった都市で新しい教会が盛大にオープンした。

シドニーにできた新しい巨大な上級教会は、オーストラリアとアジア太平洋諸国における成長のスパークプラグとなる。 クリアウォーターで昔から知られている複数のオフィスビルが、現在ではこのサイエントロジー宗教の総本山で増え続ける一方の職員とその活動のための教会施設となっている。

ダブリンにできた国務オフィスは、この「エメラルド島」で人道支援プログラムを加速させる役割を担う。

今後2年の間にさらに50以上の新しい教会がオープンすることが計画され、進行している。ミスキャベッジ氏はその見積もりを「控えめなもの」と表現する。

「ビジョン + 拡張 = 人類の生存。」そのあかつきには壮大な文明が栄え、隆盛を極めることだろう。